【プロフィール】菊和-製造部(加工)の匠
大学院機械工学科修了後、自動車会社H社に入社。
以後35年、自動車の加工部門の開発~量産立上げ~品質管理を一貫して担当。 2008年1月、菊和に転職。
私は加工部門の取りまとめを担当しています。加工技術は、日本がやはり先進国です。技術レベルは世界的に一段も二段も抜けている。キクワの鋳造工程を考慮した新しい加工技術提案は、海外展開する日系メーカーから、「やっぱり頼りになるねえ」と高い評価をいただいています。中国や韓国などはいま、日本人をヘッドハンティングすることで加工技術を高めようとしている。そのくらい希少価値のある技術を我が国は蓄積しており、キクワの若い人たちにそれをたっぷり伝えていきたいのです。私のライフワークになるのかもしれません。
私は自動車業界の厳しい環境で加工技術を磨きました。1980年代90年代、バブル景気に沸く日本、世界をリードする経済大国と賞賛された日本は、クルマの量産化が加速していました。製造現場も修羅場のような多忙さでしたね。自動車部品の加工~量産が遅れてしまえば、自動車は当然完成しない。「ラインを止めたら、何千人も遊んでしまうんだぞ」という重圧を背に、量産化スピードが問われるからと無謀にアクセルを踏めば、品質が劣化してしまう。それでは人の命を守るための安全性が担保できない。 相反する要求を並び立たせなければという緊張の中で、加工と量産化~品質管理技術を調和よく高めるために骨身を削りました。振り返ればじつに苦しい体験でしたが、自己成長という視点でいえば得難い体験でしたね。ぎりぎりの環境でラインを統括する術を学べたことも大きかった。
キクワのよさは、ダイカストメーカーでありながら、鋳造だけではなく金型も造り、加工も一貫して行っているところです。私のこれまでの経験を生かしつつ、非常にスピード感のある一貫体制の中で、総合的に挑戦もできる。私はキクワに誘ってもらえたことを、幸運でありがたいことだと受け止めている。これから入社する方も、この強みを自覚して自分をトータルに育てて欲しい。切削などの加工技術については、私がいろはにほへとの基本から徹底指導します。高度なシリンダーヘッド加工やアルミ加工、加工設備計画、ライン立ち上げ、具体的な品質改善策、装置トラブルへの対処法などなど。専業の加工メーカーにも負けないノウハウをあなたに移植できたら、私は幸せです。そして私といっしょに、そのノウハウを体系化し、更にはその最適な教育方法も網羅する会社の仕組みを創造しましょう。初心者のタイ人も、短期間で質の高い仕事ができてしまう。そんな高次元の仕組みです。鋳造から金型、加工まで。一気通貫の難しい技術に挑み、そしてそれを咀嚼して簡単化し、アジアに広く伝授する。これこそ、技術者冥利に尽きる仕事じゃないかな。自由に、元気に、技術論を交しましょう。ワイワイガヤガヤの文化で、自動車会社の加工技術さえも超えてやろうよ。