【プロフィール】菊和-技術部(型設計製作)の匠
1984年菊和に入社。入社後は一貫して菊和における型設計製作業務を担当。
低コストで高品質な金型を短納期で製作する技術を蓄積中。
何度、逃げ出そうと思ったか。今から26年前の入社3年目のころ。新しい挑戦に成長があるという考えのもとに、 金型の製造を開始。その流れで金型製造に携わるようになったんだけど、これが正直つらかった。金型職人からやってみろと言われるけれど、当然のごとく失敗して、泣くほど怒られる毎日を繰り返す。何千回と怒号をぶつけられ、辞めたくて仕方がなかった。それでも耐えられたのは、怒られることを超えるほど、金型の製造に魅せられてしまっていたから。自分のつくった金型をもとに、何百万の製品が生まれ、人命に関わる車の部品になっていく。大勢の命の安全を守る、やりがいのある仕事だと思うようになった。 「金型の材料は冷たい鉄だが、血の通った熱い金型をつくれ」。創業者のこの言葉が、今の私を支えている。
ずっと金型製造をやってきた後、10年くらい前に設計に移ったことで、視野がずいぶん広がりました。金型製造の経験を生かした設計の改善、また設計の知識を生かした金型製造の改善。この仕事を始めて29年になるけれど、まだまだ面白い。もっともっと成長できる。できれば新入社員にも、ずっと成長できる楽しさを知ってほしい。そこで最近、ジョブローテンションに取り組み始めました。多面的な視点からダイカストという仕事を見ることができる。金型のわかる鋳造のエキスパート、もしくは鋳造のわかる金型のエキスパート。どちらもわかる人材ならきっと、市場価値は高い。今、ダイカスト市場で鍵となっているのは機械による自動化だけど、どうしても機械にさえ生み出せない精度があります。金型職人だけがもつ人の技術。若い人にも継承していきたいと思っています。
ここ最近、元大手企業のベテランエンジニアが次々と入社してきています。技術は誰もが特級。今までとは規模の違う、大型の機械によるダイカストの知識や経験が惜しみなく注がれています。特にタイキクワでは、大型の機械によるダイカストがずいぶん役に立っています。日本以外にアジアの市場があることは、若い人にとっていいこと。学べることも多い。これからアジア路線はさらに拡大していくでしょう。そのときの日本の役割は、タイに供給できる技術を生み出すことです。そのためには、常に新しいことに挑戦して技術を生み出していかないと。相当のプレッシャーだけど、どうか進んで挑戦していってほしい。自分の成長のために、貪欲に技術を吸収してほしい。市場の流れとか、技術の細分化とかいろいろ小難しいことはあるけれど、まずはものづくりのやりがいを感じとってほしいと思っています。